心電図とは

そもそも心電図とは何か。
心電図とは、心臓の活動によって生じる電位差(電気的なエネルギーの差)を記録したものである。
心電図に記録された波形は心臓の状態をある程度反映しているため、心電図の波形により、心臓の状態を知ることが出来る。
心電図を理解するためには、誘導の種類(電極による電位差の観察の向き)の理解が前提として必要である。今回は誘導について以下で説明する。
誘導の種類
“12誘導心電図”ではその名の通り、12種類の誘導の種類(電位差の観察の向き)がある。肢誘導と呼ばれる Ⅰ、II、III、aVL, aVF, aVRの6種類と胸部誘導と呼ばれるV1~V6の計12種類である。
肢誘導
肢誘導は、その名の通り、手足(肢)につけた電極により観察される電位差の観察の向きである。
電極は実際には以下のように患者の体に貼られており、電極の色は決まっている。あきよしくみこ(人名か?笑 “あ”が赤、”き” が黄、”く” が黒、”み”が緑)と覚える。

上の電極から2つを選んで、その電位差を観察する。その観察方向についてそれぞれ名前がついている。(下図のⅠ、II、III、aVL, aVF, aVR)
以下でそれぞれについて簡単に説明を加える。

Ⅰ, AVL
心臓の左側壁方向から心臓の電位差を観察(左側壁方向に向かって正の電位差を+の波形として記録する)しており、左室の側壁の観察に適する。
II, aVF, Ⅲ
心臓の下壁方向から心臓の電位差を観察(下壁方向に向かって正の電位差を+の波形として記録する)しており、下壁の観察に適する。II誘導は、心臓の電気が流れる向き(※下図を参照)に最も平行であり、循環器病棟などでの心電図のモニターで使用される。
aVR
心臓の右壁方向から心臓の電位差を観察(右壁方向に向かって正の電位差を+の波形として記録する)している。心臓の正常な電気の流れ(※下図を参照)と逆向きであるため、観察しづらいが、右室壁の前面にあるため、右室の観察には有用である。
胸部誘導
胸部誘導はその名の通り、胸につけた電極により観察される電位差の観察の向きである。
電極は実際には以下のように患者の体に貼られており、電極の色が決まっている。あきみちくん(む)( “あ”が赤、”き” が黄、”み” が緑、”く”が黒、”む”が紫)と覚える。したがって、V1が赤、V2が黄、V3が緑、V4が茶、V5が黒、V6が紫である。

上のそれぞれの電極から電位差を観察しており、それぞれの観察方向をV1,V2、、、、V6としている。
以下それぞれに説明を加える。

V1 V2
右室に近いため、右室や右室を通した心室中隔の診断に利用される。 V1は右房に近いため、P波の観察がしやすい。
V3 V4
左室前壁に近いため、右室左室前壁や左室を通した心室中隔の診断に利用される。
V5 V6
左室の側壁に近いため、左室の側壁の診断に利用される。
以上をまとめると、それぞれの誘導をどの部位の観察に使うか、以下の表のようになる。

電極を貼る位置について補足
胸部誘導は電極を貼る位置が難しいので、以下で手順を詳しく解説する。
まず、電極を貼る位置は以下のようになっている。
V1:胸骨右縁第4肋間 V2:胸骨左縁第4肋間 V3:V2とV4の中間 V4:鎖骨中線第5肋間 V5:前腋下線 V4と同じ高さ V6:中腋下線V4と同じ高さ

では、手順を説明する。
①胸骨角(胸骨の出っ張っている部分)を探す。そこから左右に出ている第2肋骨を同定する。
②第2肋骨の下が第2肋間であり、そこから数えて第4肋間を同定する。(だいたい乳頭くらいのレベル)
③第4肋間胸骨右、左縁にV1,V2をそれぞれ装着する。
④第5肋間鎖骨中線にV4を装着し、同じ高さの前腋下線、中腋下線にそれぞれV5, V6を装着する。
⑤最後にV2とV4の中間にV3を装着する。
終わりに
いかがだったでしょうか?誘導のことだけで、結構な量になってしまいました。にしても、いざ説明するとなると自分の中でも曖昧な部分があることに気づきます。
次回以降に続きます〜