造影の適応

アレルギーの既往腎機能低下(GFR30~60で慎重投与、30未満では原則禁忌)が見られる場合、ビグアナイド系糖尿病薬服薬中(乳酸アシドーシスをきたす可能性あり)を除き積極的に造影が奨励される。

・ただし、腎・尿路結石、総胆管結石、血管の石灰化、遊離ガス・腹水、腸管内液体貯留の確認のための撮影の場合は造影剤投与は不要である。

血管内投与された造影剤は、動脈・毛細血管内に留まる(動脈相)→動脈相にやや遅れて門脈内に造影剤が流入する(門脈相)→毛細血管から間質へ移行し、毛細血管内の造影剤濃度と間質内の造影剤濃度が一致する(平衡相)→腎から造影剤が排泄されることで血管内の造影剤濃度が低下し、間質内の造影剤が血管内に移行する。(遅延相)

・動脈相では血管に富む場所がよく造影され、平衡相では血漿量+間質液量が多い場所がよく造影される。

ボクセル、WWとWL

・CT画像は人体の横断断層面を多数の小立体(=ボクセル voxel)に分け、1つ1つのボクセルのCT値に従って、十数段階のグレースケールの濃淡で表したものである。

・このグレースケールのCT値の幅をWW(window width)、中心のCT値をWL(window level)という。

・例えば、WWが300HU、WLが10HUの場合は

10HU~ 10 + 300/2 = 160HUのボクセルが画像上で白く表され、10HU~10 – 300/2 = -140HUのボクセルが黒く表される。160HU以上のボクセルは最も白く表され、10 – 300/2 = -140HU以下のボクセルが最も黒く表される。

空気と脂肪の区別

・空気と脂肪の区別にはWWを広くし、WLを下げることが有用である。

∵脂肪が-20HU~-100HUなのに対して、空気が-1000HUとかなり低吸収である。WLを下げ、WWを広げないと、画像上においてどちらも真っ黒に示されてしまい区別できない。(通常の腹部CTでは、WL 25~50HU程度、WW:300~400HU程 であり、25 -400/2 = -175HU以下はすべて画像上では真っ黒に表示されてしまう)

部分容積現象(partial volume phenomenon)

・1つのボクセルは、それが占める空間のCT値の平均値を画像で表す。したがって、1つのボクセルに2種類以上のCT値の異なる物質が存在する場合には、その境界が不明瞭となる。この現象を部分容積現象と言う。