図1

・RFパルスを与えられたプロトンは位相がずれることにより、縦緩和が起こる。

・縦緩和のうち磁場を乱す物質の存在により生じるものT2緩和と言い、磁場を乱す物質の存在と歳差運動の周波数のズレにより生じるものT2*緩和と言う。

・T2*緩和の原因にはT2緩和の原因となる”磁場を乱す物質”に加え、”歳差運動の周波数のズレ”が加わる。そのため、T2*緩和はT2緩和よりも急速に起こる。

・FID信号の振幅をなぞった曲線が、T2*緩和曲線であり、FID信号の最大振幅とエコー信号の最大振幅を結ぶ曲線がT2緩和曲線である。(spin echo法を参照せよ)(図2,3)

図2
図3

歳差運動の周波数のズレ

・軌道電子がプロトンの周囲を回転することにより、磁場を打ち消す方向に働く。プロトンごとに軌道電子の状態が異なるため、歳差運動の周波数が異なる。

・歳差運動の周波数のズレにより位相のズレが生じるが、180°パルスにより相殺されてしまう。そのため、T2緩和には関与せず、T2*緩和にのみ関与する。

・歳差運動の周波数のズレは、プロトンが置かれる磁場の強さにより変化する。(∵磁場の強さによってプロトンの回転数や軌道電子の回転数は変化する)

磁場を乱す物質

・タンパク質は、アミノ酸内にベンゼン環、二重結合、三重結合などの磁場を乱す物質をたくさん含んでいる。ある1つのプロトンが、ブラウン運動によりその近くを通ると、一時的に異なる磁場に置かれることとなり、位相がずれる。