体液の分布

・成人の全体重の40%が細胞内液であり、20%が細胞外液である。細胞外液のうち3/4が間質液、1/4が血漿(血管内液)である。

※新生児〜小児は細胞内液の割合が高くなる。高齢者は細胞数が少なくなるため、細胞外液の割合が高くなる。

成人 新生児〜小児
細胞内液 40% 40%
細胞外液 間質液 15% 40%
血漿 5%

血漿浸透圧と膠質浸透圧

浸透圧は、半透膜(選択的に物質を通さない膜)とその半透膜を通過できない溶質が存在するときに生じる。したがって両者を意識することが大切である。

・水は浸透圧の低い方から高い方へと移動する。

血漿浸透圧

各物質が自由に動ける範囲
Na,BUN,糖は細胞膜を通過できない。
血漿蛋白(アルブミン)は血管壁を通過できない。

・Na、血糖、尿素窒素といった電解質により生じる、細胞内液から細胞外液(間質液+血漿)に水を引き込もうとする浸透圧。

・半透膜は細胞膜であり、電解質がそれを自由に通過できないために生じる。

・血漿浸透圧mOs = 2Na(mEq/L) + 血糖値(mg/dl)/18 + 血中尿素窒素(mg/dl)/2.8 で求められる。(血漿浸透圧の正常値は285 ±5mOs m/L) 

※Naを2倍するのは、Naとほぼ同量存在する陰イオンによる粒子を計上したいからである。

膠質浸透圧

・血管内に存在するアルブミンによって生じる間質液・細胞内液から血漿に水を引き込もうとする浸透圧。(正常値:25mmHg)

・半透膜は血管壁であり、それをアルブミンが自由に通過できなために生じる。

・膠質浸透圧は血管内水分量の維持に重要であり、低下すると浮腫が生じる。

・血漿浸透圧と膠質浸透圧の違いをまとめると以下のようになる。

血漿浸透圧 膠質浸透圧
半透膜 細胞膜 血管壁
溶質 Na、血糖、尿素窒素 アルブミン

※浸透圧

半透膜で仕切られたU字管の左側、右側に純溶媒(=水)を入れた場合を考える。

・溶媒(水)分子は、絶えず熱運動しており、半透膜を自由に透過している。

・左→右へと移動する溶媒分子の数=右→左へと移動する溶媒分子の数であるため、U字管の左右の液面の高さが等しくなる。

・次に、半透膜で仕切られたU字管の左側に純溶媒、右側に溶液を入れる。

・溶液の方が溶媒濃度が低いため、左→右へと移動する溶媒分子の数>右→左へと移動する溶媒分子の数となる。したがって、溶液側の液面が上昇する。

・上昇した溶液側の液面の高さを純溶媒側の液面を等しくするために溶液側から余分に加える圧力πを浸透圧と言う。

・浸透圧π=CRT(C:溶液のモル濃度、R:気体定数、T:絶対温度)で与えられる。

※半透膜

一部の種類の粒子を選択的に通す膜