・胸腔ドレーンは以下の3つの部位からなる。

名称 役割 備考
排液ボトル 胸腔内から吸引された液体を貯留する
水封室 水により、空気の逆流を防止する 水の入れ忘れに注意する。水に気泡が発生した場合、肺からの空気漏れの可能性がある。
吸引圧制御ボトル 一定の吸引圧が生じるように調整する 大気吸引口先端から持続的に気泡が出るように吸引源の吸引圧を調整する。

・図の左側のチューブは胸腔内に接続されており、ここから液体(血液や胸水)や空気が吸引される。液体は排液ボトルに貯留する。

・空気は水封室、吸引圧制御ボトルを経て吸入源に吸引されることになるが、水封室を通過する際に、水封室内の水に気泡を生じる。したがって、水封室内の水に気泡を確認した際は、肺からの空気漏れを疑うべきである。

吸入源が十分な陰圧で吸引を行っている(=吸引圧制御ボトルの大気吸引口から持続的に気泡が出ている)場合を考える。

緑部分の圧力=大気圧ーAcmH2O、オレンジ部分の圧力=緑部分の圧力ーBcmH2Oが成り立つ。したがって、オレンジ部分の圧力=大気圧ー(A+B)cmH2Oとなる。この(A+B)cmH2Oがオレンジ部分にかかる陰圧である。

胸腔内の陰圧<(A+B)cmH2Oであるため、水封室の呼吸性変動(Bcmの変動)は見られない

・吸入源が吸引をしていない場合(水封管理)について考える。チューブがきちんと胸腔内に繋がっている場合には呼吸性変動が見られるが、治療が進み肺が再膨張すると徐々に消失する。(ドレーン先端や側孔が胸膜にふさがれ、呼吸による胸腔内圧の変動を反映しにくくなるため)

肺に穴が空いていると、水封室の水の中に泡が発生する。これをエアリークと言う。

・呼吸性変動とエアリークの状態まとめ

呼吸性変動(+) エアリーク(+) チューブ閉塞なし、肺に穴あり
呼吸性変動(+) エアリーク(-) チューブ閉塞なし、肺に穴なし(=理想的な状態)
呼吸性変動(-) エアリーク(+) チューブ閉塞あり(肺の再膨張)、肺に穴あり
呼吸性変動(-) エアリーク(-) チューブの閉塞あり、肺に穴なし