小葉間隔壁(ILS)や胸膜(PL)に囲まれ、内部に3~5本の終末細気管支(TB)の集族を有する肺の末梢単位を二次小葉という。二次小葉において、それぞれの終末細気管支(CTで描出される肺動脈の先端あたり)の支配領域を細葉(Ac)という。(BR:気道, PA:肺動脈, PV:肺静脈, vnl:細静脈)

・肺末梢側に位置する二次小葉では、気管支血管束(肺動脈+気管支)が中心部を構成し、胸膜肺静脈リンパ管が辺縁を構成する。肺門部にある二次小葉では、太い血管気道が二次小葉の辺縁となる。

・CTにて陰影を認めたとき、二次小葉と陰影の位置関係により以下のように分類することができる。

分布 機序 鑑別診断 特徴
小葉中心性 経気道 気管支肺炎・肺抗酸菌感染症・過敏性肺炎 胸膜から一定の距離あり
汎小葉性 肺胞領域 ウイルス性肺炎・ニューモシスチス肺炎・心原性肺水腫・好酸球性肺炎 肺胞領域に浸潤影やすりガラス陰影
リンパ路性 リンパ路 サルコイドーシス・癌性リンパ腫 葉間胸膜との親和性あり
ランダム 血行性 粟粒結核・癌の血行性転移 胸膜直下に存在し、気管支にない

・小葉中心性:終末細気管支〜1次呼吸細気管支の周辺部(CTで描出される肺動脈の先端あたり)に分布する病変。(水色の点線で示す)胸膜から一定の距離を保つ。経気道病変であることを示唆する。

・汎小葉性:肺胞隔壁性間質の肥厚(間質性肺炎)や、肺胞腔内への滲出物により生じる。

・リンパ路性:リンパが流れる気管支血管束、小葉間隔壁、肺静脈、胸膜に分布する病変。(緑色で示す。肺胞隔壁性間質は含まないことに注意。)葉間胸膜との親和性がある点が診断に有用である。

・ランダム分布:二次小葉の構造に全く関係がないランダムな分布。(水玉で示す。)病変が血行性に広がっていることを示唆する。病変が胸膜直下に存在し、気管支には存在しない点が診断に有用である。