左室高電位
・左室高電位とは、V5(V6)のR波>26mm または V1のS波 + V5(V6)のR波>35mmの状態のことである。
※左室高電位のみでは、必ずしも左室肥大と言えないことに注意!
・一方で心電図上でQRS波の振幅が異常に低下している状態を低電位差と言う。
肢誘導の低電位差 | QRS波の振幅の上下の和が肢誘導すべてで<5mm |
胸部誘導の低電位差 | QRS波の振幅の上下の和が胸部誘導すべてで<10mm |
左室肥大
・心臓の壁肥厚や重量の増加した状態。
・心電図における診断基準はまちまちであるが、最近では、とにかく一番深いS波を探してその深さをはかり、次にV4のS波の深さをはかる。この2つを足して23(女性)-28cm(男性)以上なら左室肥大と判断する。
・以下のような心電図所見が見られる。
左室高電位 |
心室興奮時間(VAT)の延長(0.04秒~0.06秒) |
ST-T変化(T波平低化・ST下降・T波陰性化) |
※V3~V5に見られる-10mm以上の巨大陰性T波は、心尖部肥大型心筋症に特徴的である。
※ストレイン型陰性T波とは、上に凸のST下降を伴う、前半がなだらかで後半が急な左右非対称の陰性T波である。

・左室肥大は原因によって以下の2つに分けられる。
求心性肥大(concentric hypertrophy) | 遠心性肥大(eccentric hypertrophy) | |
原因 | 左室への圧負荷(高血圧や大動脈弁狭窄症等) | 容量負荷(大動脈閉鎖不全症や心室中隔欠損症等) |
心電図所見 | q波の減少または消失 | q波の増大 |
ST↓・T波陰転 | ST↑・T波増高 |