病態と経過

・腹部の緊急手術の30~50%が虫垂炎である。症例数が多いため症状の経過も様々であり、初期診断が難しい。そのため腹痛を見たら必ず鑑別に挙げ、それ以外の腹痛の原因が分かるまで否定しない。

主にリンパ組織の肥厚や噴石によって虫垂の内腔が閉塞することで生じる。痛みの出現から2~3日経過すると内腔の圧が上昇し、穿孔性虫垂炎となることがある。

・穿孔性虫垂炎は以下の2つに分けられる。

汎発型(generalized peritonitis:腹腔内に広がる汎発性腹膜炎となる)

限局型(localized peritonitis:盲腸後虫垂炎<retrocecal appendicitis>や腸間膜などでseal offされている場合には限局性膿瘍形成や蜂窩織性<walled off abscess or phlegmon>に進展する) 

・来院後5~7日経過している場合には限局型の方が考えやすい。前者であればそれ以前に受診していると思われるからである。

病歴

・幼児を除いて全ての年齢で起きる可能性がある。(生涯発生率 男性:8.6%, 女性6.7%)

・典型的な症状は、①食欲低下→②Gradually onset intermittentの心窩部/臍周囲部痛(4~6時間で終わる)→③悪心・嘔吐→④痛みが右下腹部に移動→⑤発熱 であり、これらの症状が半日〜2日くらいの期間で出現する。

・典型例では痛みの出現が先であり、その後に痛みによる嘔吐が起きる。

・若年者では上腹部痛しか訴えないことも多い。

身体所見

・腸雑音は正常か減弱している。

・Mcburney点を探して押しても意味がなく、虫垂の位置と深さをイメージしながら、圧痛点を確認する。本当に痛い部位はせいぜい指1本分の幅しかなく、場合によっては虫垂の走行が分かることがある。