・病院外ではエネルギー摂取過多となりがちである。生活習慣の乱れをきっかけに肥満、インスリン抵抗性、食後高血糖、高血圧、脂質異常症、その他様々な疾患へとまるでドミノが倒れるように広がっていく。これをモデル化した考え方が、メタボリックドミノである。
・一方で入院患者ではエネルギー摂取不足となりやすい。患者がタンパク質や脂肪、グリコーゲンを消費して”自分の体を削る”ことを防がなければならない。
・また低栄養状態により低アルブミン血症を呈している際には、リンパ球機能の障害や抗菌薬の効果低下が起こる。
主観的包括的評価シート
・患者を担当した際に、主観的包括的評価シート(SGAシート)で ①栄養に関して治療が必要か ②栄養障害があるならば急性なのか慢性なのか を判断する。
(近年 MNA®(mini nutrition assessment:簡易栄養状態評価表)を用いる動きもある。
客観的な評価
・栄養状態を客観的に評価する方法として、利き手でない上腕骨中点で、上腕三頭筋皮下脂肪厚(triceps skinfold thickness:TSF)と上腕周囲長(arm circumference :AC)を計測する。
TSFは体脂肪と比例するため、エネルギー貯蔵量の指標となる。ACは体脂肪量と筋肉量を合わせた指標である。
以上2つを元に以下を算出することができ、これらは筋肉量の指標となる。
上腕筋周囲(arm muscle circumference:AMC)(cm) = AC(cm) – 0.314 x TSF(mm)
上腕筋面積(arm muscle area:AMA)(cm^2) = {AC(cm) – 0.314 x TSF(mm)}^2/4
アルブミンでの評価
・アルブミンも栄養評価に有用であり、3.5g/dL以下で低栄養を疑う。
・低アルブミン血症の原因として、①合成の低下、②尿や大便・分泌液への喪失、③代謝の亢進、④栄養不良がある。
・アルブミンはCRPが上昇していると低下する。CRPの産生で肝臓が手一杯になってしまうからである。またCRPが上昇している場合、炎症反応により血管透過性が亢進していることも多く、血管外にアルブミンが漏出してしまう。
・アルブミンの半減期は21日であるため、現在の治療が効果的かどうか判断するのは難しい。そのためラピッドオーバープロテイン(トランスサイレチン<プレアルブミン>、トランスフェリン、レチノール結合タンパク)や総リンパ球数、総コレステロール、中性脂肪、コリンエステラーゼ等を用いて総合的に判断することが大切である。