・風邪をきちんと診療するためには、風邪の定義をしっかりと理解しておく必要がある。風邪なのか、抗菌薬投与が必要な細菌感染症・その他治療の必要な疾患なのかを見極めることが必要だ。

風邪の定義

・風邪とは、殆どの場合自然寛解するウイルス性の上気道感染症であり、鼻汁咽頭痛の3症状が急性に同時期に同程度存在する。(最初に軽度咽頭痛があり、咽頭痛は軽快傾向だが、咳・鼻汁も出てくるのが典型的な経過である。3症状は24~48時間で揃い、1週間程度で症状がおさまる。)

※解剖学的には咽喉頭までが上気道で、気管・気管支以下が下気道である。しかし、ここでは気管・気管支までを上気道とし、を下気道とする。

・ただし、年齢を重ねると様々なウイルスに暴露する/免疫が老化するため、以上のような典型的な風邪症状を発症する確率は下がっていく。

・風邪は臓器をまたいだ複数の症状を呈するのに対し、細菌感染は「単一の臓器に1種類の感染」が原則である。

※ここで言う咽頭痛とは原則、嚥下時痛である。その場でつばを飲ませ、確認すること。

※鼻汁については訴えない患者も多い。鼻汁の訴えが無くても痰が出る場合には後鼻漏による鼻汁が喉に落ち込んだものである場合が多い。